Aセクシャルという言葉を知った日
高校生の私は、ある本を手に取って震えていた。
興味のある分野を探そうと、進路指導室にある本を漁っていた私が手にしたのは、「ジェンダーがわかる。」(アエラムック)という本だった。
そこに書かれていたのは、「Aセクシャル」性的欲求を他人に求めない人たちがいるということだった。中には、「恋愛感情がある」タイプの「Aセクシャル」もいて、自分はこれに当てはまることがわかってうれしかった。
今までモヤモヤしていた自分を定義する言葉が初めて見つかった瞬間だった。
私はネットで初めて知った言葉を検索しながら、いつか同じように人に会ってみたいという気持ちを募らせていった。
思えば、中学生のときなぜか流行っていた過激な少女小説ー10代の女の子が初めての彼氏との間で子どもを妊娠。高校をやめて母親になり幸せになるという話ー を回し読みさせられても、嫌悪感しかなかった。
自分が彼氏と性的行為を行うことが全く想像できずにいたし、自分からは遠い出来事にしか思えなかった。
もっと遡れば、子どもの頃から男女の役割にも疑問を持っていたし、女扱いされることに強い拒否反応を覚えていた。
大学に入ってもっと勉強してみたい。そうしたら自分ですら持て余す自分のことがわかるかもしれない。大学でジェンダーを勉強したい。そう思った私は、社会学部を受験した。
(noteの編集、2016.1.14)